Rhapsody in Love 〜二人の休日〜


「この笠の傾斜の緩さ……すごく古い……鎌倉時代くらいのものかも。……年号とか刻んでないかな?」


ほぼ独り言のように言いながら、写真を撮ったり、石塔の周りをうろうろと彷徨(うろつ)いている。それを、古庄と遼太郎は少し離れた場所から見守った。


「ねえさんって、マニアックだなぁ」


笑いを含ませて、古庄が呟く。


「本当は学者になりたかったって、前にも言ってました」


遼太郎は、かつて自分も古庄と同じように思い、その時みのりと交わした会話を思い出した。


「へぇ、そうなんだ。優秀な先生だから、てっきり最初からガチで教師を目指してたんだと思ってたけど」

「教師も先生の天職だと思いますけど、遺跡に来たときが、先生は一番生き生きしてます」


取り立てて、遼太郎は歴史に興味があるような感じではなかったが、古庄の目には遼太郎がとても満たされているように見えた。


「これ、古庄先生のご先祖様が立てたのかなぁ?」


満面の笑みで話しかけてくるみのりを見て、古庄はフッと息を抜いて、笑いを漏らした。その優しい笑顔の完璧さに、遼太郎は思わず見惚れてしまう。


「ねえさん、それで、ここの斜面にあるのが、群衆墓だよ」


なかなか石塔から離れようとしないみのりに、古庄が声をかけた。


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