Rhapsody in Love 〜二人の休日〜



「今日は俺の家に泊まって、明日また来てもいいけど?」


古庄が提案してくれたけれど、みのりは首を横に振った。


「ありがとう。でも、明日は朝から仕事があるのよ」


そう言って、古庄よりも自分を納得させるように寂しそうな笑顔を作った。


だけど遼太郎は、みのりのそんな顔を見てしまうと、諦めたくなくなる。どうにかして、愛しい人の望みを叶えてあげたくなった。


「ここからどれくらい時間がかかるんですか?」


「慣れてる俺の足で30分程度だが、ねえさんだとその倍くらいかかるかもしれないな……」


遼太郎がスマホを取り出して時刻を確かめると、3時を過ぎたところだった。5時には暗くなるとすると……。


「行ってみましょう。次にいつ来れるか分からないし、発掘前の状態は今しか見られないかもしれないので」


はっきりした口調で、遼太郎が言った。
けれども、古庄は厳しい表情で同意しかねている。


遼太郎の言っていることも一理あった。多忙を極めるみのりには、〝次〟はないかもしれない。あったとしても、その時古庄は案内できないかもしれないし、遺跡だって発掘が始まれば部外者は見られなくなってしまう。


「先生は俺が手助けします。だから、こうしている間にも出発しましょう」


遼太郎の言葉の中にある信念は、古庄の思考を変える力があった。古庄は遼太郎をじっと見つめ、それからみのりへと視線を移して息を抜いた。


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