Rhapsody in Love 〜二人の休日〜



「うん。突いてくる高さがちょうどその辺ってのもあるけど、そこを狙ってくるから。人間の急所を知ってるんだよな。でも、接触しないに越したことはないから、イノシシが登れない所に上がるといいよ」


「イノシシが登れない所って……」

「市街地だったら塀の上とか、山の中だったら木に登るとか。とにかく高い所だ」


古庄は山育ちなだけあって、小学生の頃から父親の狩猟に着いて行っていた経験もあり、イノシシの生態を知り尽くしていた。


「木の上か……、先生はきっと登れないだろうから……」


その遼太郎の呟きを聞いて、古庄は気がつく。遼太郎はずっと、みのりを守ることを想定して、古庄に質問していたということを。

微笑ましいというか、健気というか。遼太郎がみのりを想う純粋さに、古庄はまた胸がキュンと痺れるような感覚を覚えた。


「君は本当に……、ねえさんのことが好きなんだな」


古庄の口から思わず出てきた言葉に、遼太郎も思わず顔を赤くする。
自分の気持ちを隠せないことを少し〝子供っぽい〟と感じて、〝大人〟の古庄を前に恥ずかしくなった。


そんな遼太郎を見て、古庄も自分が思っていることも包み隠さず、腹を割って話をしたいと思った。そして、みのりを介さずに個人的に遼太郎と親しくなりたいと思った。



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