Rhapsody in Love 〜二人の休日〜


職員室の中という遼太郎の知らない場所で、三年間をみのりと共に過ごしてきた古庄は、遼太郎の知らないみのりを知っているのかもしれない。

遼太郎は言われてみたらその通りだと思うばかりで、古庄の深すぎる洞察に言葉を返せなかった。


息つく暇も与えないほどにみのりを抱いているのに、自分はここまでみのりのことを理解できていただろうか?
もしかして自分は、とんでもなく分不相応な相手と付き合っているのかもしれない……そんな不安が、遼太郎の胸の中に立ち込めてくる。


「でも、それは全部ねえさんの魅力でもある。狩野くんみたいに、それを全部分かった上で好きになった男は(とりこ)にされて、絶対にねえさんから逃れられないだろうね」


みのりに恋はしていないのに、まるで恋をした経験があるかのような古庄の意見。遼太郎は、自分の心を共有してもらっているような気持ちになった。


「先生は計り知れない人なので、俺に先生の全部が分かることはないかもしれません。だけど、それでも先生の全てを好きなことには変わりありません」


遼太郎のそんな言葉を聞いて、古庄はハッとした。そして、遼太郎を凝視する。


「……そうか。狩野くん、君はめちゃくちゃ器の大きい男なんだな。だから、ねえさんを受け止めてあげられるし、ねえさんも君だから惚れたんだろうな」


「いや……、高校生のときから、先生に相応(ふさわ)しい人間になりたいって、必死で頑張ってるだけです」


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