斜め前の遠藤君。
勇気を振り絞って声をかけた。靴を履きかけてた遠藤君は動きを止めて、驚いたように顔を上げた。
鳩が豆でっぽう食らったようって、きっとこんな感じを言うんだろうな。だってわたしが話かけるなんてこと、今まで一度もなかったもんね。
「大木、何、どうしたの?」
「あの、あのねっ」
ぱんぱんのビニール袋を目の前に掲げながら、夕べ何度も練習した言葉をわたしはいっぺんに吐き出した。
「遠藤君、今から外のパン屋さん行くんでしょう? でもあのお店、今日臨時休業なんだって! そんでね、たまたま、本当にたまたまなんだけど、わたし今日別のパン屋で朝パンを買ったんだけど、どれもおいしそうで迷っちゃって結局選べなくて欲しいパン全部買ってきちゃったの! どうせひとりじゃ食べきれないし、遠藤君もお店閉まってるの知らないで行ってお昼休み無くなっちゃったら困るでしょう? だからたまたま余ってるわたしのパン、よかったら遠藤君が食べてくれないかな!?」
一気にまくし立てたわたしに、遠藤君はしばらくぽかんとしてた。
昨日臨時休業の張り紙を見てとっさに思いついたことだったけど、たまたまって言い訳、やっぱり苦しすぎたかな。
鳩が豆でっぽう食らったようって、きっとこんな感じを言うんだろうな。だってわたしが話かけるなんてこと、今まで一度もなかったもんね。
「大木、何、どうしたの?」
「あの、あのねっ」
ぱんぱんのビニール袋を目の前に掲げながら、夕べ何度も練習した言葉をわたしはいっぺんに吐き出した。
「遠藤君、今から外のパン屋さん行くんでしょう? でもあのお店、今日臨時休業なんだって! そんでね、たまたま、本当にたまたまなんだけど、わたし今日別のパン屋で朝パンを買ったんだけど、どれもおいしそうで迷っちゃって結局選べなくて欲しいパン全部買ってきちゃったの! どうせひとりじゃ食べきれないし、遠藤君もお店閉まってるの知らないで行ってお昼休み無くなっちゃったら困るでしょう? だからたまたま余ってるわたしのパン、よかったら遠藤君が食べてくれないかな!?」
一気にまくし立てたわたしに、遠藤君はしばらくぽかんとしてた。
昨日臨時休業の張り紙を見てとっさに思いついたことだったけど、たまたまって言い訳、やっぱり苦しすぎたかな。