あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした

ありがとう 幸希side


もう死んでしまおうと思っていた。
だからあの日、飛び降りた。
なのに…飛び降りたとこが川の横にあった土の上。
土はぬかるんでいて私の体を受け止めた。
それでもかなりの衝撃だった。
意識もそんなにはもたなかった。
意識が朦朧とする中…まあほとんど意識はなかったけどそれでも……優星の声だけが鮮明に私の耳に届いたの。
『幸希先輩!!』
私の名前を必死に呼ぶ君の声が聞こえたの。
死のうとしていたのに死ねなかった。
死に損なってしまった。
君がまだ私を必要とするから……私は死ねなかったんだよ?
もう君に…私はいらないと思ったのに。
君はまだ私を必要としてくれるんだね?
それが嬉しかったの。
でもね、意識を戻したくないの。
だって目が覚めたらまたあんな毎日が来るんだと思ったら…体が拒絶するの。
もう痛い思いしたくない。
苦しいのも辛いのも嫌。
ただ……心の底から笑いたいだけなんだよ。
なのに私が欲しいものはいつだって手に入らないの。
そんな人生ならもう捨ててしまいたい。
自由になりたいの。
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