冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す
入浴の後、 
夕飯を食べていなかった正臣の為、
残り物で簡単なお茶漬けを用意して、
正臣の手土産のどら焼きと共に一緒に食べる。

正臣はそんな簡素なお茶漬けをいたく気に入ってお代わりまでした。

香世はどら焼きを食べながら、
この日常がずっと続けばいいと願ってしまう。

自分の気持ちはとっくに決まっているのに
言い出す機会が見当たらない。

たわいも無い話しで気持ちを紛らわし
気付けば寝る時間になってしまう。

2人寝支度を整えて自室のある2階に向かう。

階段で躓きやすい香世の為、
いつしか自然と手を繋いで階段を登るようになっていた。

言わなければ、言わなければと思う度
香世の心臓はドクドクと脈打ち
逆に緊張して一言が言い出せないでいる。

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