冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す

終章

その2週間後に家族の顔合わせをして、
7月7日に婚姻届けを出して晴れて夫婦になった。

あれから2人で一緒に寝るようになって
香世も少しずつ触れ合う事に戸惑いを見せなくなってきていた。

香世の仕事は次の日に始まり、
週に3日、前田の運転で通う事になった。

宣言した通り初日に正臣も着いて行き、
社員全員を集めて牽制したのは言うまでも無い。

そして今日7月10日正臣の誕生日だ。

この日の為に内緒で作っていたプレゼントを
香世はそっと綺麗な紙で包む。

正臣さんに喜んで貰えるかしら?
ソワソワした気持ちが朝から隠せない。

正臣が仕事に出かけてから素早く
香世はタマキと一緒に今夜の為に念入りに掃除をする。

午後からは龍一と真子が前田の迎えで学校帰りにやって来た。

「見てこれ、施設のみんなで感謝を込めて作ったの。折り紙で折ったくす玉で天の川を作ったんだよ。」

真子が大事そうに箱から取り出して見せてくれる。

折り紙のくす玉を沢山集め吊るし雛の様に吊す事が出来る様になっていて、思った以上の大作に香世は目を丸くする。

「凄い…。これを子供達だけで作ったの?」

1番上の大きなくす玉は黄色で、
その下に小さなくす玉を3列ずつ糸で結び、
凄く綺麗に出来ていた。

「売っても良いくらいの完成度だねー。」
龍一も目を輝かせて見つめている。

「これ飾ってくれるといいなぁ。」
真子も嬉しそうに笑いながら大切なプレゼントを箱に戻す。
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