悪役令嬢は友人の恋の行方が気になる

令嬢たちは友人の恋の行方が気になる

バイロン侯爵家の夜会の一週間後、マリアは王宮の一室(今度は本当に王太子妃教育をする為に与えられた部屋だ。)で王太子と会っていた。

「ステファニー様はいかがお過ごしなのですか?バイロン家の皆様はお優しいですから、ステファニーにあまり厳しい事は言わないと思いますが心配です。」
王太子からは詳しくは聞いていないが、ステファニーがマリアの為に王宮に通っていたのではないかと、マリアは薄々感じていた。
王太子は向かいのソファに座り、優しい表情でマリアに話してくれる。
「それは本人に確認したらいい。今日、ステファニー嬢は王宮に来る事になっているからね。」
「王宮に?私も会えますか?」
「表向きの用事はあるが、実際のところはあなたに会いにくるのだ。だからゆっくり会えるよ。」
「ありがとうございます。嬉しいです。彼女の好きなお菓子を準備してもらいます。」
すっかりお茶会をするつもりのマリアは、いつにも増して嬉しそうだ。
「ステファニー嬢が羨ましい。あなたにこんな嬉しそうな表情をさせるなんて、妬けてしまうよ。」
悪戯っぽく王太子が揶揄うとマリアは慌てて弁解する。
「あの、そんなことは…。ステファニーと会うのは本当に久しぶりなのです。ですから…。」
「ふふふ、わかっているよ。マリアが可愛いから揶揄ってみたかっただけだ。」
「まぁ。」

王太子のマリアに対する溺愛ぶりは、短期間で侍女や護衛騎士たちを通じて王宮中に広まっていた。今も部屋の隅で控えるマリアの侍女が微笑ましく2人を見ている。

王太子が執務室に戻ると、マリアは早速ステファニーを迎える為の準備を始めた。
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