悪役令嬢は友人の恋の行方が気になる
「ロベールはどこでその気になる方とお会いになったの?」
「王宮の舞踏会ですよ。」
「いつもその方とどうやって過ごしているの?」
「だいたいは見守っているだけですが、時々会話することもありました。その会話がとても楽しかったのです。」
ロベールが見守っていた人。王太子の指示で彼が長く側にいたのは…。
「え?私?」

そんなはずはない。だって、あの王宮でのステファニーは全く貴族の令嬢らしくなかった。それなのに。
「前に一度お話しした事がありますが、私は従順な女性よりも自由で意思の強い方が好みなのです。」
ロベールはまた顔を上げて微笑み、ステファニーを見つめる。その瞳に甘い色が含まれているのに気づいて、ステファニーの頬は上気した。
「あなたのことしか見ていません。気になるのはあなただけだ。」
赤くなったステファニーを見て、嬉しそうにロベールが告げる。
「う…。」
「嘘ではありません。」
「し…。」
「信じてください。」
「……。」
何も言えなくなったステファニーを、今度は正面から抱きしめる。戸惑いながらも抵抗しない彼女は、いつもの強気な雰囲気を感じさせず、可愛らしい。ロベールはそんなステファニーも愛しいと思った。
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