宮野くんに伝えたい想い~夢の世界から戻る方法は『好き』を伝え合うこと
 数日後。

 一時間目の数学の授業が始まるチャイムがなった時だった。
 ペンケースを開けて、筆記用具を出そうとしたらそのメモ紙が落ちた。

「これ、落ちたよ」

 隣の席の新井くんが拾ってくれた。

「あ、ありがとう」

「ねぇ、小松さん。今ね、そのメモ見ちゃったんだけど」

「ん?」

「そのメモの場所って、一緒に行った人と結ばれるって噂の場所だよね?」 

「そうだって聞いたけど……噂、知ってるの?」

「うん。というか前に小松さんたちがその話をしていた時、聞こえちゃった。ねぇ、その場所一緒に行かない?」

「え?」

「いや、別に深い意味はなくて。そこで何が起こって、ふたりが結ばれるのかなって気になって……」

 彼からこんなふうに話しかけてくるの、とても珍しい。

 ちょっとモジモジしている気がする。

 私みたいに人に話しかけるの緊張しちゃうタイプなのかな? 
 一緒に見に行くだけなら、いいかな?

「いいよ!」   

「じゃあ、いつ行くかとかは、後で決めようか」

 こうやって新井くんに誘われるのって初めて。ふたりだと何話せばいいのかわからないなぁ。

「じゃあさ、後で葵ちゃんも誘ってみるね」
「いや、ふたりで。水無月さんにも誰にも行くことは内緒にしといてほしいな」

「え?」 

 話の途中で先生が入ってきた。
 どうして内緒なのかな?

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