幸せを受け止めて~騎士団長は月夜に淑女をさらう~
「今年の新入隊員はどうかな~?根性のあるやつがいるといいけど。」
会議室でたまたま隣に座った男がギュンターに話しかけてくる。
この男は確か国境警備団に所属している男だ。
「どうですかね。」
ギュンターは当たり障りのない返事を返す。
軍はその他の仕事に比べたら高給で生活の保障も手厚いため男子の就職先としては人気だったが、
日々の訓練は厳しく、有事の際には命を懸けて戦わなければならないため、
その重責に耐えられず除隊していくものも多かった。

「ちらっと上官に聞いたんだけど、今年は女子の入隊者が例年より多いらしいぜ。まぁ女子はもれなく王城警備の部隊に入るから、俺には関係ないけど。良いよな、女の子が同じ隊にいるって。」
この男が羨ましがるのも無理はない。
軍隊は基本、男所帯でむさくるしいところだ。
女性が入隊するようになったのもここ最近のことだった。
内戦で軍人の数が減り、女性にも門戸を開くことにしたのはつい数年前からなのだから。
< 2 / 97 >

この作品をシェア

pagetop