婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2
『ユニコーンを探したい。力を貸せ』
《げっ! あいつか!》
『知り合いなのか?』
《まあな、あいつすげえ真面目でつまんねえ奴だぞ》
『へえ、そうなんだ』
《それに結界張るのが得意だから、その中に篭られたらオレだって探せない》

 なるほど、確かに治癒室に張られた結界は強固なものだった。だけど、逆にそれが手掛かりになる。

『フェンリル、臭いのない場所を探せ。結界に閉じこもっているなら、そこだけまっさらな空間になるだろう?』
《お? おお! 主人は天才だな!》

 俄然やる気を出したフェンリルによって、あっさりとユニコーンの居場所を割り出した。

 意外にもユニコーンは僕の執務室にいたようで、治癒室の時と同じ手応えを感じて無理やり結界を破壊する。

 バリンッと大きな音を立てて結界が崩れ落ちると、ユニコーンの銀色に輝く躯体が現れた。
 もっと抵抗するかと思っていたけど、どこかあきらめたようなホッとしたような表情だった。

『君がユニコーンだね?』
《いかにも》

 バハムートやフェンリルと同じ銀色の毛並みと瞳が、幻獣であることの証だ。

『お前が僕のラティに毒を盛ったのか?』

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