彼女の夫 【番外編】あり
「あの編集者、なんだか色気のある男性でしたね・・。社長もそう感じませんでした?」

「へぇ、高澤はああいう男が好みなのか?」

「会話の距離感が絶妙だし、気づいたら彼のペースにハマってる感覚ですよ・・あれは女性にも相当モテますね」

「言われてみれば、見た目もそうだったかもな・・。色気っていうか、オトナの余裕ってやつだろう」

もし、俺にもそういう色気や余裕があったとしたら、もう少し上手く彼女と接することができただろうか。

・・・・そんなふうに思ってしまう俺は、自分には色気も余裕もなく、ぎこちなく接している自覚があるということか。

「高澤・・俺には・・・・」

「はい?」

「いや、何でもない。この後の会議は外貨の調達についてだったな」

「はい。各部門の予算が出そろったタイミングで、財務部門から予測のご報告をさせてほしいと打診がありまして」

高澤からタブレット端末を手渡され、事前に共有された資料を確認する。

そう・・俺の色気がどうこうと考えている場合ではないのだ。
予測データを見ながら、俺は気持ちを切り替えた。

「高澤、会議後でいいが、財務部門に各支払月の状況も数値化するように伝えてくれないか。次のメインバンクとの打合せの時に、少し話ができるように」

「承知しました。次回の経営会議までに提示してほしいと伝えます」

「ああ、頼む」

その後も会議や決裁処理が続き、全て終わる頃には19時を回っていた。


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