彼女の夫 【番外編】あり
「社長? 急用で帰られたと高澤に聞いたんですが」
駅に向かって大通りを歩いていると、後ろから河本に声をかけられた。
「ああ・・。思いのほか、すぐ済んだんですよ。電車で帰ろうかと」
「高澤、まだオフィスにいますよ。送らせましょうか?」
「いえ、今日はもう。そうだ河本さん、この後少し時間ありますか? 良かったら、私の失恋話で飲みませんか?」
「ええっ、社長が振られたんですか? それは興味ありますね・・。行きつけのバーで良ければご案内しますよ」
河本が通りを流しているタクシーをつかまえ、俺たちはそこに向かった。
軽くグラスを合わせると、すぐに河本が聞いてきた。
「我が社の社長を振った女性は・・。いや、社長が恋心を抱いた女性は、いったいどんな方だったんですか?」
「どんな・・。私を社長だと知らずに出会った人・・でしたよ」
「へぇ。今日の取材の前に仰ってましたもんね、素の自分を受け入れてくれる人がいい・・って。でも、失恋話っていうのは・・」
「顔が見たくて、話がしたくて会いに来た・・って伝えたんですけどね。困らせただけでした」
無言のままだった彼女の顔を思い出す。
何かひと言でも、言ってくれたら良かったのに・・。
「意外だなぁ。社長、結構ストレートに気持ちを伝えるんですね。ビジネスの場じゃ、綿密に交渉事を進める印象だったので・・。それでお相手の方は、どんなお返事を?」
俺は首を横に振った。
「何も。それが返事だと受け取って、帰ってきましたよ」
「そんなぁ・・」
俺たちは顔を見合わせて苦笑いした。
駅に向かって大通りを歩いていると、後ろから河本に声をかけられた。
「ああ・・。思いのほか、すぐ済んだんですよ。電車で帰ろうかと」
「高澤、まだオフィスにいますよ。送らせましょうか?」
「いえ、今日はもう。そうだ河本さん、この後少し時間ありますか? 良かったら、私の失恋話で飲みませんか?」
「ええっ、社長が振られたんですか? それは興味ありますね・・。行きつけのバーで良ければご案内しますよ」
河本が通りを流しているタクシーをつかまえ、俺たちはそこに向かった。
軽くグラスを合わせると、すぐに河本が聞いてきた。
「我が社の社長を振った女性は・・。いや、社長が恋心を抱いた女性は、いったいどんな方だったんですか?」
「どんな・・。私を社長だと知らずに出会った人・・でしたよ」
「へぇ。今日の取材の前に仰ってましたもんね、素の自分を受け入れてくれる人がいい・・って。でも、失恋話っていうのは・・」
「顔が見たくて、話がしたくて会いに来た・・って伝えたんですけどね。困らせただけでした」
無言のままだった彼女の顔を思い出す。
何かひと言でも、言ってくれたら良かったのに・・。
「意外だなぁ。社長、結構ストレートに気持ちを伝えるんですね。ビジネスの場じゃ、綿密に交渉事を進める印象だったので・・。それでお相手の方は、どんなお返事を?」
俺は首を横に振った。
「何も。それが返事だと受け取って、帰ってきましたよ」
「そんなぁ・・」
俺たちは顔を見合わせて苦笑いした。