彼女の夫 【番外編】あり
それから1週間ほど過ぎて、火傷の跡はかなり綺麗になった。

時間が経てば、この傷跡のように彼女のことも忘れていくのだと思っていたけれど、実際はそうじゃなかった。

ふとしたきっかけで『そういえば・・』と彼女を思い出す。

それは高澤が買ってきてくれたコーヒーだったり、経営企画部のメンバーが食べているメキシカンのランチボックスだったり、産業医の白衣だったりした。

その度に、少しだけ胸がチクリと痛んだ。
俺は、結構引きずる男なのかもしれないな・・。


「社長、まだ早いですが出ましょうか。11時の新幹線なので、12時半過ぎには名古屋に着きます。食事は現地でいいですか?」

「そうだな、向こうできしめん食うか」

その日は、高澤と名古屋支社に向かうことになっていた。

中部国際空港を発着する貨物便と物流センターの利用について、支社メンバーと貨物地区を視察する予定だ。
 
「先に下に降りていてください。名古屋支社長に頼まれていた土産を持って降りるので」

「ああ、エントランスにいるよ」

俺はバッグを片手にエレベーターに乗った。

名古屋か。
確か熱田神宮は縁結びで有名だったよな・・。
少し足を延ばして、縁結び祈願でもしてくるか。

スマートフォンを片手に、熱田神宮までのアクセスを調べながらエレベーターを降りた。

名古屋駅から、最寄り駅まで電車で10分もかからないらしい。
明日なら時間がありそうだ。



「服部さん!!」



俺はスマートフォンから視線を上げた。



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