彼女の夫 【番外編】あり
「蒼、仕事は? 午後も勤務がありそうな雰囲気だったけど、大丈夫なのか?」

「うん・・。同僚に頼み込んで代わってもらったから」

彼女はスクラブ姿から私服に着替えていて、もし時間が許すならこのまま一緒にいたいと思った。

「蒼・・・・次の勤務まで、どれくらい時間あるかな・・。明日は、仕事?」

「うん、夜から仕事。午後は少し寝たいから、明日のお昼に家に戻れれば・・」

「だったら俺が蒼の時間に合わせる。一緒に昼寝して、夕方病院まで送るけど・・そうさせてくれる?」

「え?」

驚いた顔で、彼女が俺を見た。
2年前は彼女がいつも俺に合わせてくれていたから、当然の反応かもしれない。


「玲生さん、あの・・」

「ん?」

「一緒にいられるのは嬉しいけど、ちゃんと話がしたい。何があったの? なぜ玲生さんがここにいるのか知りたい」

彼女の真剣な眼差しに、俺は思わずフッと表情が緩んだ。

そうだった。
事実を知って、俺の気持ちだけが先走ってここまで来てしまったのだから。

近くのパーキングにクルマを停めて、ふたりでカフェに入った。


「何から話そうか? 蒼は、何を聞きたい?」

「・・・・玲生さん、今更だけど結婚・・は?」

「結婚? してないよ」

「・・・・もしかして、私とのことで破談になったとか?」

そうだ。
彼女は彼女で、あの編集者に言われていたのだ。

『既に決まった婚約者がいて、離婚歴のある女が入り込む隙間なんて無い、婚約者を傷つけるな・・』と。


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