彼女の夫 【番外編】あり
メディカルセンター前の通りで、クルマに寄りかかりながら彼女が出てくるのを待っていた。

「え・・・・。玲生さん、本当に迎えに来てくれたの? 今日は仕事よね」

「迎えに来るって言っただろう? お疲れさま」

俺は助手席のドアを開けて彼女を乗せた。
彼女の言う通り今日は休みではないけれど、オフィスに出向くのは9時半の約束だから支障はない。

「蒼をホテルに送って、寝るのを見届けたら出勤するよ。さぁ帰ろう」

運転席に回り、クルマを出す。
ホテルに向かう途中で、夜の予定をほんの少しだけ伝えることにした。

「蒼、今日の夜はドレスアップして食事しないか? 全部予約してあるから、蒼は何も用意しなくていい。ギリギリまで寝てていいぞ」

「食事はともかく、ドレスアップって・・どこに連れていくつもりなの? ロサンゼルスに来てからは仕事ばかりで、肌も髪もボロボロなのに」

「そんなことないよ。昨日さんざん触れたけど、惹きつけられる手触りだった」

そう言った俺に、彼女は呆れたような視線を向けた。
朝から何を甘いことを・・と言わんばかりだ。

「あと・・。親父に会ってほしいんだ。いま、ロサンゼルスに来てる」

「えっ」

「ちゃんと紹介したい。親父に、蒼を」

「・・うん・・分かった」

それはつまり、そういう可能性・・結婚の可能性があることを遠回しに伝えたようなものだ。

彼女もそれを察したのか、助手席の窓から遠くを眺めつつ何か考えているようだった。


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