彼女の夫 【番外編】あり
ぼんやりと目を覚ますと、もう外は明るくなっていた。

気持ちの重さが、そのまま身体の重さになったかのように起き上がれずにいる。

はぁ・・。

昨晩から、もう何度ため息をついたことだろう。
ため息の分だけ幸せが逃げるとしたら、もうかなり手放した気がする。

情けない。
なんだかいろいろ。
本当に。

『自分のことしか考えていない人は嫌なのよ』

俺が彼女のためにと考えたことは、彼女にとっては迷惑だったのかもしれない。

一緒に暮らしたい。
だから、ロサンゼルスで社長業をする。

「なんか自信無くなったな・・。日本に帰るかなぁ・・」


ブブ・・ブブ・・ブブ・・。

「はい・・」

『玲生か? そろそろ迎えに来てもらいたいんだが』

親父だった。
そうか、一晩預かるとは言っていたものの、支払いもあるし当然迎えが必要だということをすっかり失念していた。

「分かった。1時間くらいで行くから・・」

『どうした、声が暗いな。早坂先生と喧嘩でもしたか?』

「なんだよ早坂先生って・・『蒼さん』って呼んでただろ」

『主治医なんだから先生だろう? それにお前の嫁さんじゃなくても、彼女には主治医になってほしいくらいだよ』

嫁さんじゃなくても・・か。
盛り上がってたのは、本当に俺ひとりだけだったのかもしれない。

「親父、俺、親父と一緒に日本に帰ろうかな・・」

『ん? そうするか? 俺はそれでも構わないが』

電話の向こうの声が何となく嬉しそうに聞こえて、俺はため息とともに電話を切った。


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