彼女の夫 【番外編】あり
「じゃあ蒼、2週間後な。今度は俺が羽田に迎えに行くから」

俺はひと足先に日本に帰ることにした。
もちろん、彼女との新しい生活の準備をするためだ。

「うん・・。玲生さん・・・・私を探してくれて、本当にありがとう」

「当然だろ? 俺がどれだけ蒼を愛してるか、分かってる?」

そう言うと、彼女がふわりと俺に抱き着いた。
2年前から変わらない、ほんの少しだけ甘い香りがした。

「そうそう。この香りがさ、2年前に別れた時ベッドに残ってる気がして、しばらく寝るのが辛かった」

「え、本当?」 

「うん」

そんな話をしながら、俺はあらかじめポケットに用意していたネックレスを彼女につけた。

「見送りに来てくれてありがとう。これは・・会えない間、寂しくないようにお守り代わりだ」

クローバーモチーフが彼女に良く似合っている。
これなら指輪と違って頻繁につけ外しする必要も無いだろうから、充分にお守りの役割も果たすはずだ。

「会えないって・・。ほんの2週間くらいなのに」

「まぁ、あっという間なんだろうけど。でも、あると安心しないか?」

「そうね。ありがとう、嬉しい。実は・・私もプレゼントがあるの」

シンプルなブレスレットなんだけど・・と、彼女が腕時計に重なるようにつけてくれた。

「へぇ、いいね。時計を外しても、これはずっと外さなくても良さそうな素材とデザインだ。大事にするよ」

俺は手首を少し揺らした後、彼女をぎゅっと抱き締めてキスを落としてから、出国ゲートに向かった。


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