彼女の夫 【番外編】あり
ロサンゼルスでも仕事はしていたものの、いざ帰国して出社してみると思いの外タスクがあり、代行の弟がホッとした顔をしていた。

「兄貴が帰ってきて助かったよ・・。『今時、世界中のどこにいたってビジネスは成り立つ』なんて言ったけどさ、まだまだアナログ処理が多くて参った」

「じゃあ、そこの改善は専務に任せる。俺としても仕事が電子化されるのは大歓迎だ」

「了解。そうだ、頼まれてたマンション、良い所が見つかった。買い手がついていたんだけど、海外転勤が急に決まって空くことになったらしい。一昨日見てきて、悪くなかったから抑えておいたよ」

パンフレットを見てみると、確かに立地も悪くないし間取りも広々としている。
彼女の希望を聞いて、早々にインテリアも手配しよう。


あとは・・。

コンコンコン。

「社長、お客様がお見えですがどちらにお通ししますか?」

「そうだな・・応接室に頼む。高澤、さっき買ってきてもらった洋菓子を出してもらえるか?」

「承知しました。飲み物は紅茶がいいですよね・・準備します」

「ん? 社長自ら茶菓子の手配とは・・来客は誰?」

俺は曖昧に笑って見せ、社長室を出た。
エレベーターの中でジャケットを羽織り、ネクタイもチェックする。

よし。
行くか。

応接室のドアを開けると、ソファに座っていた人物が立ち上がった。

「ご足労いただき、申し訳ありません。こちらにいらっしゃる方が都合が良いとのことでしたので・・。改めて、社長の服部 玲生です」



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