彼女の夫 【番外編】あり
ロサンゼルスから帰ってくる何日か前、彼女がため息とともに口にした。
俺のことを、母親にどう説明すればいいか・・と。

父親は既に亡くなっていて、離婚した時も、ロサンゼルスの病院で働くと決めた時も、とにかく心配させてばかりだったから・・と言った。

「今度は大企業の社長との再婚でしょ? おまけに私は勤務医を辞めるつもりもない。母が聞いたら卒倒するわね」

「どうして?」

「どうして・・って、世の常識から外れ過ぎてるから」

そう言って、彼女は寂しそうに微笑んだ。
世の常識・・か。

「蒼、俺が話そうか。蒼のお母さんに」

「え、玲生さんが? でも・・」

「でも・・何?」

「玲生さんにいろいろ失礼なことを言ってしまいそうで、怖い・・」

その時俺たちはベッドにいたから、俺は彼女を腕の中に引き寄せて髪を撫でた。

「何を言われても構わないよ。それで蒼のお母さんの不安が軽減されるならね。
俺に任せてくれる?」

「玲生さんが、それでいいなら・・」

ひとつだけ確かめておきたいことがあった。
彼女が俺との結婚を、どう考えているかだ。

「蒼、俺との結婚は蒼を苦しめる?」

「えっ」

「もしそうなら、蒼が苦しくならない方法を取りたい。俺は蒼と一緒にいられれば、形式にはこだわらないよ。ずっとこのまま恋人の関係だっていい」

「だけど・・それじゃ玲生さんが・・」

世の常識から外れすぎている。
彼女自身が、誰よりもそれに対して引け目を感じているのが伝わってくる。


俺が彼女にできることは、何だろうか・・。



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