だからこの恋心は消すことにした。
2.消えた恋心





side エイダン



アイツの瞳から、アイツの表情から、アイツの思いが伝わってきた。
初めてそれに気がついた時、俺は気持ち悪いと思った。



「…」



マテオが泊まりたいと言っていたホテルの一室から外の景色を1人眺める。
大きな湖と花の光が溢れたその景色はとても幻想的でマテオが好きそうな景色だと思った。

きっとあのバカな秘書官もここの景色が好きなのだろう。


あの女は俺が好きだ。
どうして俺のことが好きなのかわからない。

俺は人間にとって恐ろしく、不気味な存在だ。
別にそう思われていることを気にしてはいないし、むしろ満足している。

俺を見れば人間は皆、恐怖で表情を歪める。
誰も俺に好意なんて向けない。

それが愉快だし、俺は楽しい。
人間の、他人の負の感情が堪らなく好きだ。


だから他とは違う、好意を向けてきたアイツの感情が何なのかすぐにわかった。


他の人間とは違うアイツの視線がどうしても理解できず気持ち悪かった。



俺はアイツに好かれるようなことはなんてしていない。
他の人間と同じようにアイツがどんなことをすれば表情を歪めるのか考えている。



アイツは普通の人間なんかじゃない。
だから離宮の魔法使いたちに異常に好かれて、執着されている。

度を超えたスキンシップ何てアイツにとっては日常茶飯事で顔色一つ変えない。
たまに変えることもあるがごく一部のスキンシップでだ。

だけどアイツは俺からのスキンシップだと顔色を変える。
他の奴から何をされても平気そうにしているのに俺からのスキンシップには弱い。


顔を赤くして、女の顔になる。
魔法使いの誰もがそんなアイツを見たがっているのにそれを何度も何度も見られるのは俺だけだ。





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