だからこの恋心は消すことにした。
「本当になくなっちまったんだろ、あれは」
「…」
ああ、気分が悪い。
認めたくない。
俺もラナが好きだったなんて。
だからずっと不愉快だったのだ。
*****
自分の気持ちを自覚して数日。
俺は暇さえあればいつもラナを観察していた。
そしてあることに気がついた。
「ねぇ」
ラナがこの時間に談話室で1人で本を読んでいたのはラナをずっと観察していたので知っていた。
だから俺は確かめてやろうと魔法でラナの前に現れた。
「エイダン?どうしたんですか?」
急に現れた俺に特に驚くことはなく、落ち着いた様子でラナが本から俺に視線をあげる。
普通の人間なら驚くが、日々魔法使いたちと過ごしているラナにとって、誰かが急に現れることは日常だった。
「お前からずっと微かにだけどカイとアランの魔力を感じる。何されたんだよ」
今までだったら絶対に気がつかなかったが、ここ数日は嫌と言うほどラナを観察していたので、このわずかな違いも見つけられた。
まるでマーキングされているみたいですごく不愉快だ。
嫌なものを見る目でラナを見ているとラナは「カイとアランですか?」と首を傾げて考え始めた。
「あ」
そして数秒考え込んだのちに何か心当たりを見つけたようでラナは素っ頓狂な声を上げた。
「わかったの?」
「…いや、えっと…」
「…何だよ」
ラナが言いづらそうに下を向いている。
何かやましいことがあるらしい。
「…人間如きが魔法使いである俺に隠し事ができるとでも思っている訳?お前の隠し事を暴く方法なんていくらでもあるから」
「そ、そうですよね…」
バカにしたように鼻で笑う俺とラナは未だに目を合わせようとしない。