だからこの恋心は消すことにした。
「自分で言うか、俺に無理やり暴かれるか二択だよ」
「…はい」
ラナはしばらく下を向いたままだった。
…俺には言いたくないことなのだろう。
一体何をされたのか。
それでも少し経ってラナはついに下を向いたまま口を開いた。
「…カイとアランに魔法をかけてもらいました」
「魔法?」
「はい。おそらくそれの影響ではないでしょうか」
恐る恐る喋ったラナの小さな頭を見つめる。
小さくてきっと魔法を使わなくても一瞬で吹き飛んでしまう弱く脆いもの。
誰にでも殺されてしまいそうだ。
きっとこの愛らしくも弱々しい頭の主が発した言葉は本当なのだろう。
そしてその言葉に俺は納得していた。
カイとアランがラナに魔法をかけた。
それもずっとラナに魔力が残り続けるような強力な魔法を。
その魔法は一体なんなのか。
『アイツの心はもうお前にはないだろ?』
『この氷みたいに溶けてなくなっちまったのかな』
『本当になくなっちまったんだろ、あれは』
数日前の最悪なマテオとの会話がふと頭をよぎる。
まさか…
「お前、感情を消させたんでしょ?アイツらに」
「…」
「黙っているってことは肯定なんだね」
ラナに攻めるような視線を向けるとラナはそれでも下を向いているままで俺を見ようともしない。
あんなにも俺への恋心に乱されていたのに。
あんなにも愛おしく俺を想っていたはずなのに。
コイツはそれを捨てた。
どうしようもなく腹が立った。
俺にこんな思いをさせているラナに。
ガッとラナの頭を両手で無理やり掴んで上を向かせる。
「…っ」
驚いている様子のラナと目が合う。
前までのラナならその瞳に複雑な感情を抱いていたのにそこには戸惑いしかない。