だからこの恋心は消すことにした。
「あ、あり得ません!エイダンは自分に想いを寄せる私をそもそも根本では気持ち悪がっています!」
「それはほんとーに最初の方だけでしょ?そもそもその気持ち悪がっている行動自体もアナタを傷つけたいが為の嘘だったり、気まぐれだったりする可能性もあるのに」
「…そ、それもそうですが」
それはあまりにも希望的観測すぎるのでは。
そう思ったが、そこまではとてもじゃないが言えなかった。
アランの言葉を全て否定する勇気が私にはないのだ。
どこか希望を抱いていたい甘い私が確かにいる。
「とにかく最初が最悪だったからこそ、アナタの認識が歪んでしまっているけれど、今のエイダンは少なくともアナタのことが好きよ。もちろん異性としたね」
「ほ、本当にアランはそう思いますか?」
「ええ。世にも恐ろしい魔法使いの言葉は信じられない?」
「まさか!アランの言葉だからこそ信じられるんですよ!」
意地悪く笑うアランの言葉を私は慌てて訂正して、思っていることを口にする。
するとアランは嬉しそうに笑った。
「私たちを魔法使いとしてではなく、同じ1人の人として扱うアナタが好きよ」
何を当たり前のことを言っているのだろうか、とも思ったが、アランの言わんとしていることを私は何となく察した。
人間と魔法使いは根本的に違う。
だからこそ、人間の中には魔法使いを人間とは違う存在として、一括りにしてしまい、個人名を呼ぶことなく、〝魔法使い〟と呼ぶ者は多かった。
犬にそのまま犬と呼んでいるような感じだ。
ちゃんとしたポチという名前があるにも関わらず。