ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~
「そこは信頼関係あってのものですよ。自分は姫さまが望まれたことにはなるべく応えるようにしているのです。そこには大抵の場合〝意味〟がありますから」
当たり前のように紡がれた言葉に、ルイーズは驚いてディオンを見た。
たしかにディオンは、ルイーズのお願いにはなにがなんでも──それこそ命がけだとしても応えてくれようとする。
けれど、まさかそこまで信じてくれているとまではルイーズも思っていなかった。
(たしかにディーは、いつもちゃんと話を聞いてくれるんだよね。子どもだからってバカにしないし。だからルゥは、のびのびといられるんだけど……)
頭のなかにちらつくのはエヴラールの姿だ。
意識して思い返せば、どうしてリュカがエヴラールの前であんなにも緊張しているのかがよくわかる。
エヴラールはリュカの話をいっさい聞かないのだ。
いつも一方的で、リュカの言葉には耳を貸そうとしない。
無論、リュカが父の前だと萎縮して気持ちを言えなくなってしまうことも関係しているのだろうが、それ以前にこの親子は〝対話〟が成り立っていなかった。
どれだけ言葉を詰まらせても、目線を合わせ、最後まで話し切るまで聞いてあげてくれれば、リュカだって──。
(んー。なにかきっかけがあればいいんだけど……。やっぱり、魔王さまがリュカを認めざるを得ないくらい功績を残すしかないのかな)
正直、この水不足に関しては、下手に手出ししない方がいい気もするのだが。
(でも、リュカは民のためになりたいんだもんね。ルゥにできることがあるなら、協力したいし……よし!)