ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~
「父上、は……まさか……そん、な……っ」
リュカが倒れ込むようにエヴラールのそばへ膝をついた。
「父上! 父上、目を覚ましてください……っ! ねえ、父上ってば……っ!」
エヴラールの身体を揺らすリュカを、ルイーズが「待って」と止めた。
「なんでっ! だって、だって、ルゥでも治せなかった……! それって、そういうことでしょう!?」
「ううん、ちがうよ。──ディー。もう触ってへーきだから、救命処置して。ベティもお手伝いお願い。ルゥの力は、身体のなかに入ったお水までは取れないの」
「はい!」
「お任せを!」
この混沌とした状況で、泣きもせず冷静に従者たちへ指示を出すルイーズ。
その姿に、グウェナエルはただただ見入ってしまった。
底知れぬ恐ろしさを感じる一方で、その気高い強さはまるで、かつて自身が愛したミラベルを映しているようだったから。
「ルイーズ……」
「だいじょぶだよ、パパ。あとはルゥに任せて。魔王さまとリュカをお願いね?」
「っ、待て、ルゥ──!」
グウェナエルが制止する声も聞かず、ルイーズは翼を羽ばたかせて舞い上がった。
そのまま迷いなく上昇すると、ジルダ湖に向かって両手を掲げる。
「ねえ、いたずら好きの魔物さん。そろそろ、おいたが過ぎるんじゃない?」
ルイーズが冷ややかにそう囁いた瞬間、彼女の手先に魔法陣が浮かんだ。
(なんだ、あの魔法陣)
グウェナエルも初めて目にする魔法陣だった。
いったいなにを、と思った刹那、湖の上空に同じ魔法陣がいくつも展開される。