ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~
しゅるしゅると茨の塊が解かれていくのを見て身構えたが、そのなかから現れたのは手のひらほどの小さな魚。
それはピョンッと跳ねて、ジルダ湖へと落ちていった。
信じられない光景に唖然としていると、すぐ横から「ゴホッ……」と咳き込む音が聞こえて振り返る。こちらでは、エヴラールが意識を取り戻していた。
「父上! 父上っ、聞こえますか!?」
「う……わた、しは……」
「よかった……よかったです、父上っ……!」
重怠そうに横たえていた身体を起こし、自身にすがりついてくるリュカへ視線を下ろした瞬間、エヴラールはピシリと固まった。
「リュ、カ……なの、か?」
「え……もしや、ぼくのことがわかりませんか……っ?」
「いや、そうではなくて……わかる、から……見える、から、驚いているんだ」
狼狽えたエヴラールの返答に、リュカは困惑したような表情をする。
グウェナエルはハッとしたが、それを問い詰める前に答えが降ってきた。
「ごめんね、魔王さま。勝手に治しちゃった」
グウェナエルのすぐそばに、トンッと軽やかに降り立ったルイーズ。
瞳は元の澄んだ明るい蒼色に戻っていた。背に携えていた翼を消し、完全にいつも通りの姿で、ルイーズはどこか申し訳なさそうに首を竦めてみせる。
「治せるか、不安だったんだ。でも、見えるようになったみたいでよかった」
「っ……ルイーズさま、いつから気づいておられたのですか?」
「うーん」
ルイーズは曖昧に笑うばかりで、明確に答えようとはしなかった。
きっとそれはそばにリュカがいるからだろう、とグウェナエルは察する。
「ルゥ、どういうこと? 父上の、なにを治したの?」