ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~
「あのね、リュカ。リュカは前に、魔王さまが目を合わせてくれないって悩んでたけど、ちがったの。そもそも魔王さまは、見えてなかったんだよ」
ルイーズは「ね?」と穏やかな面差しでエヴラールを見つめる。
それを戸惑いを隠せないままに見つめ返すエヴラールの瞳は、はっきりとルイーズの視線と絡んでいた。心なしか色味が明るくなり、濁りが取れたような気もする。
「ルゥは、どうしてそうなったかは知らないし、わかんないけど……。でも、目が見えない原因が病気じゃなかったから治せたの。ルゥは、傷なら癒せるから」
「待て、ルゥ。だが、聖女の力が治せる範囲には限界があるはずだ。ほぼ失ったものを元に戻すなんて、そのような──」
「……そなの?」
ルイーズはきょとんとする。
(……はは。無自覚とは、我が娘ながらなんと末恐ろしい)
ミラベルも〝大聖女〟と謳われるほどの力は有していたが、ややもするとルイーズの力はそれすらも凌駕するかもしれない。
なにしろあの規格外な魔物に加え、このジルダ湖すべての水を浄化してみせた。
そのうえ、グウェナエルたちの治療まで難なくこなしている。それほど多重に力を使っておいて、とくにつらそうな様子もない。
「ルゥには、難しいことわかんないけど。でもね、魔王さまにはちゃんとリュカのこと見ててあげてほしいから治したの」
「ルイーズ、さま……」
「だって、こんなにリュカは魔王さまのこと大好きで、尊敬してて、ずっとずっと追いかけてるんだよ。なのに、魔王さまがそれに気がつかないでどんどん先に行っちゃったらさみしいもん。……せっかく、一緒にいられるのに」