ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~
拳を握り、必死に訴えるリュカの声を静かに遮ったエヴラール。
ほぼ反射のようにビクッと肩を跳ねさせて黙り込んでしまうリュカを見て、エヴラールはどこか悲しそうに目を伏せた。
「……そうか。私がこうして話を遮るたびに、そんな顔をさせていたんだな」
「父、上?」
「──ルイーズさまの言う通りだ。リュカには言ってなかったが、私は数年前に戦いで両目の視力を失っていた。わかるのは、右目で感じられるわずかな光の加減のみで……リュカのことも本当はずっと見えていなかった」
エヴラールがふらつきながらも立ち上がり、リュカに歩み寄った。
リュカがおろおろと後ずさる分、エヴラールは距離を詰める。そして逃がすまいと彼の手を取り、自身の腕のなかへと閉じこめた。
抱きしめられたことに驚いたのだろう。リュカは硬直して棒立ちになる。
感動的なシーンであるはずなのに、両目を見開いて口をぱくぱくしている様子がおかしくて、グウェナエルはつい吹き出しそうになってしまった。
「……リュカがこんなに成長していたことも知らなかった。本当に、いつの間にこんなに大きくなったんだ。私のなかではまだ歩き始めたばかりだったのに」
「父、上……ぼく、もう、六歳なので……」
「頭のなかでは理解していたはずなんだがな……。いや、やはり、わかっていなかったんだろう。初めておまえの想いを聞いて、ようやく〝現実〟が見えた。私が知らぬ間に、ずいぶんと成長していたんだな。リュカ」
全身を強ばらせて緊張していたリュカが、少しずつ力を抜いていく。
代わりに、彼の目から涙が溢れ出した。