ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~
そうして、我慢ならなくなったようにエヴラールに抱きつき返し、「うぁぁぁぁあ」と子どもらしい嗚咽を漏らし始める。
その様子を見て涙ぐむ、ディオンとベアトリス。ルイーズはじっとその様子を見つめていたが、なにかを堪えるようにきゅっと唇を引き結んでいた。
つい、と衣服の裾を引っ張られる。
「パパ。……ルゥも、だっこ」
「……ああ」
自らせがんだことに一瞬だけ虚を衝かれながらも、グウェナエルはすぐに応えた。
小さな身体を抱きあげてやれば、ぐりぐりと肩口に顔を押しつけてくる。
もらい泣きしそうになったのか、あるいは自身も感じるものがあったのか。
その背中を宥めるように撫でながら、ふとルイーズの身体から熱が消えていることに気づく。
「そういえばルゥ、体調はどうだ? 熱はないように思えるが」
「ん……すこぶる元気。なんかね、さっき力を使ったらすっきりしたよ」
「そうか。よかったな」
「でも、ねむい。ルゥ、つかれた。かえる」
「なんだ、ご機嫌ななめなのはそのせいか。寝てていいぞ」
おそらく身体のなかで荒ぶっていた悪魔の力が、上手いことルイーズに馴染んだのだろう。そしてさきほどの茨の蔓──闇魔法として放出したことで、燻ぶっていたものがより落ち着いた、と考えるのが妥当か。
だからといって、あれほどすぐに使いこなしてしまうとは。
(俺とミラベルの子だからか、それとももっとなにかべつの宿命を背負って生まれてきたのかはわからんが……。いっそう目を離せなくなったな)
ミラベルの危惧していたことが、いよいよ現実味を帯びてきてしまった。