ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~
聖女の力といい、悪魔の力といい、あまりにも膨大すぎる力は得てして己を蝕むことになりかねない。
そうならないように正しく導いてやらねば、とグウェナエルはひそかに誓う。
「おや……姫さま、もう眠ってしまわれましたか。自分が代わりましょうか?」
ディオンの声にルイーズを見ると、たしかにもう穏やかな寝息を立てていた。
(おやすみ三秒だな。まったく、当人は?気なものだ)
苦笑しながらも、いや、とグウェナエルは首を横に振った。
一方のリュカの方も、泣き疲れてしまったのか、そのまま眠ってしまったらしい。
エヴラールは抱きついて離れないリュカを抱え、静かに立ち上がった。
「どうだ、エヴ。子どもというのは、驚くほど温かいだろう?」
「ですから、余計なお世話ですよ。そんなことはずっと前から知っています。……ええ本当に、知っていたはずなのですけどね」
ひとつ深々とため息を吐いて、エヴラールは鉄仮面をわずかに和らげた。
「帰りましょうか。いろいろと問題は残っていますが、まずは子どもたちをゆっくり休ませる方が優先ですから」
「ああ」
グウェナエルはもう一度、浄化されたジルダ湖を振り返って目に焼き付けた。
(……ミラベル。俺たちの娘の未来には、なにが待ち受けているのだろうな)
懸念はある。
いつかルイーズに訪れるかもしれない岐路を考えると、どうしようもない胸騒ぎもした。得体の知れないものは、大魔王でさえも恐ろしいのだ。
(まあ、たとえどのような未来が待ち受けているとしても、俺はルイーズが幸せな道を歩むための手助けをするまでだが)
転移魔法陣を展開しながら、グウェナエルは未来へ思いを馳せる。
(ルイーズ。おまえはひとりじゃない。どうかそれを忘れてくれるなよ)