ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~

 隣に座っていたリュカの叫び声にハッとしたルイーズは、目を瞬かせた。

 その瞬間、ポタッ、と花蜜とはちがうものが膝に落ちる。

「え、ルゥ……?」

「「姫さま!?」」

「どうした」

「ルイーズさま?」

 リュカ、従者たち、グウェナエル、エヴラールの声が続く。

 その声はどれも困惑していたが、一番戸惑っていたのはルイーズ自身だった。

(なんで、ルゥ、泣いてる?)

 わけもわからないまま、ぽたぽたと流れていく涙の雫を見下ろした。

 止まる気配はない。喉の奥が痛いほど締めつけられて、ただ胸が苦しかった。

「ルイーズ」

 グウェナエルが立ち上がり、ルイーズを抱き上げた。

「なにを考えてた?」

「あ……ちが、ルゥ……ちがくて、だって、ルゥは……」

 ──いつまでここにいることが許されるのだろう、なんて。

 そんな贅沢な悩みを抱いてしまった自分に驚きながら、ルイーズはふるふると首を横に振ってグウェナエルの肩に顔をうずめた。

「うれし、かったの……っ! みんな、いっしょ、で……っ」

「ああ」

「でも、でも、ルゥは、ちがうって……みんなとは、ちが、うんだって……っ」

 そう遠くない未来、この幸せな空間からルイーズだけ消えてしまうのではないかと。

 そんな想像が頭のなかによぎってしまったら、だめだった。

「ああぁぁぁぁ……っ」

 いよいよ涙が止まらなくなってしまい、ルイーズは衝動のまま泣いた。

 母のミラベルが命を散らしたときだって、こんなに泣けなかったのに。

 いまになって、すべてが〝現実〟として見えてしまった。

 身体が、頭が、本当の意味で〝ルイーズの孤独〟を受け入れてしまった。
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