ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~
「…………ようやく、泣けたか」
ルイーズの背を優しく撫でながら、グウェナエルがそう呟いた。
どういう意味なのかもわからない。けれど、そのひとことはなおのことルイーズの心を刺激して揺さぶってくる。泣いていいのだ、と。そう言われた気がした。
「安心しろ、ルイーズ。おまえはなにもちがくはない」
「うっ、ちがっ、うもん……!」
「いいや。ルイーズはルイーズだ。ひとりにはならないし、させない。この日常もなくならないし、これからもっと当たり前になっていく。そのために俺やディオンたちがいるんだ。リュカも、エヴもな」
「そ、そうだよ、ルゥ。ぼく、ずっとルゥのそばにいるよっ」
グウェナエルの言葉に全力で同意したリュカは、おもむろに「見てて!」と手のひらでお椀を作った。
ぼろぼろ涙を零しながらルイーズが視線を下ろした瞬間、そのお椀のなかに色とりどりの花々が溢れ出す。
思いもよらない光景に、一瞬、涙が止まった。
「ルゥ、お花好きだよね? だから、花生成魔法っていうの練習したんだ」
「おいリュカ……どこでそんな、古の魔法を……」
「……リュカ、あとでその話、くわしく聞かせなさい」
グウェナエルとエヴラールがそろって愕然とするなか、リュカは必死に背伸びをしてルイーズの腕のなかへせっせと花々を運び始める。
「ほ、ほんとは、花束を召喚できるようになってから言おうと思ってたんだけど」
「んぅ……?」
「ぼく、ぼくね──ルゥ。ルゥのこと、守れるくらいに強くなるから」
リュカはいつになく真剣な表情で、ルイーズを見上げる。