愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
「お母さん、私が結婚したら借金の返済はどうするの? ふたりで働いて絶対に完済しようと約束したのに。お父さんが迷惑をおかけしたのを知らないふりはできないと、お母さんが言ったんだよ」

借金について口にすれば、蒸発した父の顔が浮かんで胸が痛んだ。

真面目な警察官だった父と暮らしていた頃の暮らしに不自由はなく、子供の頃は水泳や学習塾、ピアノや習字などたくさんの習い事をさせてもらった。

高校は私立の名門女子高に入学し、閑静な住宅地の一軒家に住んでいた。

裕福な方だと思っていた暮らしが崩壊したのは、成美が高校一年生の秋だ。

ある日、父が離婚届と長い手紙を置いて突然、行方をくらませた。

手紙を読むまで母も成美も知らなかったのだが、父は旧友の連帯保証人になっていた。

その人が営む飲食店の経営が苦しくなり、銀行に融資を申し込みたいからと泣きつかれたそうだ。

しかし半年ももたずに飲食店は倒産し、旧友が夜逃げして連絡が取れなくなった。

代わりに返済義務を負った父は、家族に負担をかけまいとして為替取引で資産を増やそうと試み、失敗して借金が膨らんでしまったのだ。

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