愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
「俺も食べたいんだ。寒い夜のおでんはうまいよな。俺は大根とこんにゃく、玉子とたこ足。成美は?」

「ええと、それでは……私は大根とはんぺんをお願いします」

「たったそれだけ? せっかくだから色々食べよう。中華まんもうまそうだ。店員さん、肉まんとあんまんをひとつずつ。それと――」

アメリカンドッグと鶏の唐揚げも購入し、ビニール袋を提げて店を出た。

「寄り道して帰ろう」

「はい」

どこへでもついていくという気持ちで行先は尋ねず、隣を歩くこと数分して十階建てマンション横の小さな公園に着いた。

遊具はブランコのみで、藤棚の下にベンチがふたつ。

秋が深まり花は咲いてないが、花壇もある。

子供より大人の利用が多そうな公園だ。

誰もいない公園のベンチに並んで座り、間に買ってきたものを広げた。

「うまい?」

「はい。私、コンビニのおでんは初めてです。おだしが染みてとてもおいしいです」

「同じ味覚でよかった」

「朝陽さんは外食するならレストランか料亭を選ぶと思っていたんですけど、コンビニで買う時もあるんですね」

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