愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
アメリカンドッグの先を向けられて、成美は照れくささに頬を染めつつパクリと食いついた。



一時間ほどの夜遊びを楽しんで自宅に帰り、冷えた体をお風呂で温める。

浴室はシャワーがふたつ備わっていて洗い場が広く、浴槽は円形だ。

二、三人で入れそうなゆったりサイズの浴槽で、ジェットバス機能もある。

今はその機能は使わず、フワフワな泡が立つ入浴剤を入れて湯につかっている。

しかしリラックスする精神状態とは程遠く、成美は真っ赤な顔で叫んでいた。

「朝陽さん、勝手にお湯を足さないでください。あふれて泡が全部流れてしまいます!」

「多すぎなんだよ」

「キャー! 泡を捨てないでください。朝陽さんがどうしても一緒に入ると言うから、泡風呂にしたのに!」

夫は逞しい肉体美をさらして湯の中で足を伸ばし、焦る成美をくつろいで見ている。

成美はできるだけ離れた位置で、体を隠すようにしゃがんでいた。

表面を泡が覆っているからそれほど恥ずかしくないと思ったのだが、邪魔だとばかりに彼が泡を浴槽の外へ押し流そうとする。

そのたびに成美は悲鳴を上げて、必死に泡を自分の周りにかき集めた。

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