愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
受け付けスタッフに館内利用の説明を聞いてからロッカールームに行き、裾にゴムの入ったえんじ色のジャージズボンと、襟と袖に同色のラインがあしらわれた半袖Tシャツに着替えをする。

これは女子高時代の体操服で、もったいないので捨てずに取っておいてよかったと満足しているが、ふたつ隣のロッカーを使用していた中年女性に二度見されてしまった。

(レトロ感が強すぎた?)

恥ずかしくなってコソコソしていたが、すぐに運動する楽しさで服装の問題を忘れる。

予約なしでレッスンを受けられるエアロビクスとヨガに参加し、小休憩を挟んでからフィットネスマシンを数種類、試した。

それからロッカールームに戻って今度は水着に着替える。

これも高校一年生の時に使っていたものだが、黒に蛍光カラーのラインが入ったシンプルな競泳用なので、今でもおかしくないように思う。

身長も体重も当時とさほど変わっていないので、サイズもピタリと合っていた。

ゴム製のキャップと競泳眼鏡を装着し、プール入口と矢印で示された方へ向かう。

ロッカールームを出て薄暗い連絡通路を進んだら、急に視界が明るく開けた。

(この感覚、懐かしい)

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