愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
「何十年経っても覚えているさ。高嶺の花だった由紀子に恋焦がれ、玉砕を覚悟で交際を申し込んだんだ。君が応えてくれて嬉しかった気持ちも忘れていない。俺にとっても大切な思い出だ。しかし――」
一度言葉を切った父親が申し訳なさそうに眉根を寄せ、声のトーンを下げた。
「寂しい思いをさせてすまなかった。俺はあの日の約束を守ったつもりでいたんだ。高価な宝石を含め、欲しい物はなんでも買える裕福な暮らしを与えれば、君は幸せだろうと思っていた。それに、俺が家にいれば由紀子は大変だろうと……」
最初は仕事が忙しいという理由だけで不在がちだったのだが、子供が生まれてからはさらに自宅から足が遠のいたという。
自分が帰れば妻が大量の料理を作り、家政婦と一緒になって隅々まで掃除をし、夫に尽くそうとする。
息子の世話をしながらなので大変そうに見え、帰ってきて申し訳ないと感じたそうだ。
子供への接し方がわからず、家事をしている間は自分が世話をするとも言えなかったらしい。
少しも子供の面倒をみなかった罪悪感もあって家に帰りづらかったのだと、父親が反省しているように言った。
一度言葉を切った父親が申し訳なさそうに眉根を寄せ、声のトーンを下げた。
「寂しい思いをさせてすまなかった。俺はあの日の約束を守ったつもりでいたんだ。高価な宝石を含め、欲しい物はなんでも買える裕福な暮らしを与えれば、君は幸せだろうと思っていた。それに、俺が家にいれば由紀子は大変だろうと……」
最初は仕事が忙しいという理由だけで不在がちだったのだが、子供が生まれてからはさらに自宅から足が遠のいたという。
自分が帰れば妻が大量の料理を作り、家政婦と一緒になって隅々まで掃除をし、夫に尽くそうとする。
息子の世話をしながらなので大変そうに見え、帰ってきて申し訳ないと感じたそうだ。
子供への接し方がわからず、家事をしている間は自分が世話をするとも言えなかったらしい。
少しも子供の面倒をみなかった罪悪感もあって家に帰りづらかったのだと、父親が反省しているように言った。