愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
牧は家事と育児を手伝ってくれるだけでなく育児相談にも乗ってくれるし、日中に他愛ない話をする相手がいることにどれだけ救われてきたか。

改めて牧に感謝するとともに、彼女を選んでくれた夫を頼もしく感じた。

「皆さん、お待たせしました。お食事にしましょう。お席へどうぞ」

成美は少し緊張して朝陽の両親を見る。

高級料理を食べ慣れているだろうから、手料理が口に合わないかもしれないと気にしたのだ。

朝陽の母は今日も着物をきれいに着こなし、襟元にはプラチナチェーンがチラリと覗いていた。

あの時のエメラルドのネックレスだろう。

「まぁ、美味しそう。成美さんはお料理がお得意なのね。朝陽は幸せ者だわ。あなたもそう思うでしょう?」

朝陽の父は元から愛想のない性格なので、着いてからの挨拶合戦の後は清香を囲む輪に交ざらず、ひとりだけ無言でソファに座っていた。

妻に同意を求められた今も「ああ」と頷くだけだったが、切れ長の目に以前のような冷たさはない。

(わかりにくいけど、お誕生会に招待したのを迷惑に思ってなさそうね)

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