愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
「私が向こうで清香と遊んでいます。朝陽さんも食べてください」

「成美はちゃんと食べたのか?」

「はい。もうお腹がいっぱいです」

皿の取り換えなどは牧に頼み、成美は清香を抱っこした。

ソファには朝陽の父親が、ポツンとひとりでなにもせずに座っていた。

ひと通り食べて満腹だと言って、先にダイニングテーブルから離れたのだ。

息子たちが小さな頃の誕生会も不在だったそうなので、きっとこういう集まりでなにを話していいのかわからないのだろう。

月に二度ほど清香を連れて朝陽の実家を訪ねているが、やはりその時にも父親は仕事でいないことが多かった。

夜は帰宅しているそうだが、日中に遊びに来た孫娘には会えない。

(居心地が悪そうね。清香に話しかけてもくださらない。そういえば前に子供への接し方がわからないと仰っていた)

ネックレスを渡しにいった日の会話だが、息子たちが小さな頃から今でもそれは変わっていないのだろう。

(よーし!)

成美は隣に座ると、抱っこした清香の顔を夫の父へ向けた。

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