愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
定期的に会っている成美の両親と朝陽の母には人見知りしないが、慣れていない祖父を前にして清香が不安そうに成美にしがみつく。

「なんだね?」

隣に座られると思っていなかった様子の父親も清香と同じように眉根を寄せた。

「お父様、清香に〝いないいないばぁ〟をしてください」

「俺が?」

「はい。絶対に喜びますから」

信じがたい要求だと言いたげだが、咳払いをして覚悟を決めたようだ。

少々強面の真顔をごつごつした手で隠すと、作ったような渋い声を聞かせてくれる。

「いないいない、ばぁ」

手を離しても表情は変わらずで、祖父を見つめる清香が固まっていた。

(あれ? 慣れていない人がやっても笑わないの?)

それどころか泣き出すのではないかとハラハラし、無理やり交流させたことを後悔しかけたが――。

「きゃははっ!」

清香が声を上げて笑い、もう一回とせがむように祖父に片手を伸ばした。

朝陽の父の口角が上がるのを初めてみた。

「お父様、もう一度お願いします」

「よし。いないいない……ばぁっ!」

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