愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
一緒にベッドに入れるかは娘にかかっているので、成美は火照った顔を片手で扇いで母親モードに意識を戻そうとした。

「清香、おはよう。泣かないで。パパと一緒に遊ぼう」

朝陽が抱き上げて優しく揺すっても、娘はなかなか泣きやまない。

誕生会は清香も楽しそうだったが、大人が思うよりも負担になっていたようだ。

興奮したり疲れすぎたりすると、お昼寝から覚めてもぐずぐずと機嫌が悪く、こうなると朝陽では手に負えない。

夫と交代して成美が抱けば、娘は指しゃぶりをしながらすぐに泣きやんだ。

朝陽が口を尖らせる。

「ママの腕の中が一番安心できるのか。初めて話した言葉もママだったしな」

ママやワンワン、などいくつか言葉が出始めているが、パパとはまだ言わない。

「パの音が上手に出せないだけで、きっと心の中ではパパと呼んでいると思います」

フォローのつもりで言ったのだが、それならばと朝陽が娘に発音を教えようとする。

「清香、パパの唇をよーく見るんだ。こうやって唇を閉じて、んーパッ。やってごらん?」

まだ無理だと思いながらも夫の好きにさせていたら、不機嫌そうな清香が小さな手で朝陽の顔を押した。
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