愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す

「あだっ」

「ヤダって言ったのか?」

朝陽がショックを受けた顔をしている。

「きっと違いますよ。落ち込まないでください」

「まーま、まま、まま」

「うん、ママだよ。呼んでくれてありがとう。清香のほっぺはプニプニで可愛いね」

マシュマロみたいにスベスベで柔らかな頬に触れられるのは親の特権だろう。

指先で娘の頬の感触を楽しんでいたら、清香も成美の頬に触れ、それからパクッと食べるようなキスをくれた。

「朝陽さん、今の見てました? 清香からキスしてくれました!」

「ズルい、俺もされたい」

娘からのキスを期待して朝陽が頬を近づけると――小さな手でパチンと叩かれた。

「なんでだよ……」

「えーと、きっとおひげのせいです。朝陽さんは薄い方ですけど、夕方になれば少しはチクチクしますよね。清香はパパが大好きですから大丈夫ですよ。ほら、三人で一緒に遊びましょう」

目に見えて落ち込む夫を気遣った成美は、娘の機嫌を取ろうとラグの上におもちゃを出した。

ソフトビニール素材の四角い動物積み木が最近の清香のお気に入りだ。

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