愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
きっとこう言えば成美が照れ笑いすると期待して、和やかな雰囲気での幕引きを狙ったのだろう。
けれども思考停止状態から回復した成美は、屈辱と羞恥と怒りに唇を震わせた。
(胸に触ったと少しも思っていないんだ。サイズは控えめだけど背中ほど平らじゃないのに。ひどい!)
面と向かって胸が小さいと指摘された方がまだ傷が浅いような気がした。
(なんて失礼なの。混雑するプールでメドレーの練習をするような人だもの、他人の気持ちなんかどうでもいいんだわ。この人とは話し合っても分かり合える気がしない)
恥ずかしさに顔を真っ赤に染めた成美は両腕をクロスさせて胸を隠しつつ、キッと彼を睨んだ。
その仕草でやっと彼は自身の間違いと、成美が怒っている理由に気づいたようだ。
慌てたように水泳キャップを取り、頭を下げて謝罪する。
「大変申し訳ない。胸だと思わず失礼な態度を……いや、違う。そういう意味じゃないんだ。これは完全に俺の手の感覚がおかしい。プールから上がったらお詫びをさせてくれ。君の望む金額を……いや、簡単に金銭解決を図ろうと目論んでいるわけじゃなく、誠意として――」
けれども思考停止状態から回復した成美は、屈辱と羞恥と怒りに唇を震わせた。
(胸に触ったと少しも思っていないんだ。サイズは控えめだけど背中ほど平らじゃないのに。ひどい!)
面と向かって胸が小さいと指摘された方がまだ傷が浅いような気がした。
(なんて失礼なの。混雑するプールでメドレーの練習をするような人だもの、他人の気持ちなんかどうでもいいんだわ。この人とは話し合っても分かり合える気がしない)
恥ずかしさに顔を真っ赤に染めた成美は両腕をクロスさせて胸を隠しつつ、キッと彼を睨んだ。
その仕草でやっと彼は自身の間違いと、成美が怒っている理由に気づいたようだ。
慌てたように水泳キャップを取り、頭を下げて謝罪する。
「大変申し訳ない。胸だと思わず失礼な態度を……いや、違う。そういう意味じゃないんだ。これは完全に俺の手の感覚がおかしい。プールから上がったらお詫びをさせてくれ。君の望む金額を……いや、簡単に金銭解決を図ろうと目論んでいるわけじゃなく、誠意として――」