愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
友人の鹿内が成美にお礼を渡しに行くのに付き合った時、ひと目見て心奪われたそうだ。

「清純という言葉がぴったりな女子高生だった。それは大人になった今の成美さんからも感じる。君ほど美しい女性はいない」

(それ以上は褒めないで……)

照れくさくてどんな顔をしていいのかわからないし、高鳴る鼓動が苦しい。

自己評価として容姿は人並なので、過剰なリップサービスのように感じていた。

(上流階級の人の会話遊びにはついて行けない)

もてあそばれている気がして首を横に振ると、朝陽が笑みを消して真剣な目をした。

「俺を信じられないようだね。あの時について補足すると、君に夢中な佑大から恋愛相談を受けていたんだ。だから俺は恋にならないよう君への想いを抑えていた。その内に駅で君を見かけることもなくなり縁がなかったと残念に思っていたら、スポーツジムでまた会えた。これはもう運命だろ。今度は諦めない。俺の恋人になってくれ」

朝陽のダークブラウンの瞳に夜景が映り、絵のように美しい。

誠実そうな顔で真剣に想いを伝えてくれた彼を信じたくなる。

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