愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
(本当なのかもしれない。でも私が恋人になるイメージができない。藤江さんは社会的な地位の高いセレブで、私は借金返済中の貧乏暮らしだもの。藤江さんに相応しい女性じゃない)
瞳を揺らして断りの言葉を探していると、先手を打たれる。
「借金があるからという理由で断るのはやめてくれ。俺が好みのタイプでないのなら、あきらめざるを得ないが」
朝陽を振っていいのは才色兼備のお嬢様だけのような気がして、成美は慌てた。
「好みじゃないなんて、それはありません。藤江さんはとても素敵な方で、私にはもったいないと思っています。ただ私、これまで誰ともお付き合いした経験がなく……」
「へぇ、嬉しい申告だな」
朝陽の目が弓なりになる。
「硬いとは自分でも思うんですけど、試しにお付き合いしてみるという考え方ができないんです。将来を考えられる方となら、喜んで交際しようと思えるのですが」
断るための方便ではなく、成美の真面目さからくる信条のようなものだ。
学生時代に二度、社会人になってから一度、男性に告白されたことがある。
すべて断ったのは借金のせいだけでなく、その考え方も大きな理由だった。
瞳を揺らして断りの言葉を探していると、先手を打たれる。
「借金があるからという理由で断るのはやめてくれ。俺が好みのタイプでないのなら、あきらめざるを得ないが」
朝陽を振っていいのは才色兼備のお嬢様だけのような気がして、成美は慌てた。
「好みじゃないなんて、それはありません。藤江さんはとても素敵な方で、私にはもったいないと思っています。ただ私、これまで誰ともお付き合いした経験がなく……」
「へぇ、嬉しい申告だな」
朝陽の目が弓なりになる。
「硬いとは自分でも思うんですけど、試しにお付き合いしてみるという考え方ができないんです。将来を考えられる方となら、喜んで交際しようと思えるのですが」
断るための方便ではなく、成美の真面目さからくる信条のようなものだ。
学生時代に二度、社会人になってから一度、男性に告白されたことがある。
すべて断ったのは借金のせいだけでなく、その考え方も大きな理由だった。