悪役令嬢は推し神様に嫁ぎたい!〜婚約破棄?良いですよ?でも推しの神様に嫁ぐため聖女になるので冤罪だけは晴らさせて頂きます!〜
「ここはひとつ自己紹介しておくとするか。お前が誰の妻になるのか、知らしめておかねばならぬしな」
「え?」

 一体何をするのだろうとストラに視線を戻すと、彼はスッと片腕を上げた。

「ピュイ!」

 そこに外にいたはずのピューラが飛んで来て止まり、共に炎に包まれる。
 本物の炎ではないのか熱さは感じない。

 炎が落ち着き、真っ先に現れたのはピューラだ。
 美しい尾羽を持つ鳥の姿になったピューラを見て、あの小鳥こそがストラの神獣だったのだと知った。

(このように美しく荘厳な鳥だったのね……名前、可愛らし過ぎたかしら?)

 などと考えているとストラも本来の姿となり現れる。
 ルビーのような赤い瞳。
 黒を基調にした、フェニックスの尾羽が描かれた衣服。
 そして何より、今まで抑えていた神力を隠すことなく解放した。

『っ⁉』

 直後、会場にいたティアリーゼ以外全ての者が膝をつき頭を垂れる。
 神しか持ち得ぬ神力。
 その力を感じたことが無くとも、誰もが瞬時に理解したのだ。

 このお方は神なのだ、と。

「ふむ、このような反応も久しぶりだな」

 跪く貴族たちの様子に驚くこともせず、ストラはただ軽く見渡す。
 そして抑揚のない声を発した。

「私は火の神・フォイエルが眷属、軍神ストラ。……さて、先程私のことを頭がおかしいなどとのたまっていたが……」
「もっ、申し訳ございません! 貴方様が神だとは気付かなかったのです!」

 床に額を擦り付けるほど頭を下げガクガクと震えるメラニー。
 隣のフリッツも同様に震えていた。
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