【短編】悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
 フレッドが声をかけた相手は、やはり皇族。帝国の皇女であるミカエラ殿下だった。
 ミカエラ殿下は絹糸のような銀髪を背中に流し、ぱっちりとした二重の瞳は目の覚めるような鮮やかな青だ。小ぶりの鼻と薄く色づいた唇がかわいらしい。

 しかもフレッドが皇女様を呼び捨てにするということは——

「お兄様、そんなに慌てて……ああ、もしかして失敗したのですか?」
「まだ失敗していない。だが、俺の決心がついたらここに連れてこいと言っただろう?」
「ええ、そうね。ふふふ、この時をどんなに待っていたか!」

 ミカエラ殿下は私に嬉しそうな笑顔を向ける。そしてやっぱりフレッドはこの帝国の皇子だった……!! どうしてそんなやんごとなきお方が、私の護衛騎士なんぞをしていたのもわからない。途中から、もしかして、いやいや、もしかしなくてもそうだよね!? と思ってはいたけれど。それに、私、ついさっきプロポーズされなかった? この皇子に!!
 
 それに、なにを待っていたかは知らないけれど、きっと私は無関係だし勘違いだと思う。ていうか思いたい。

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